コラム
運転中の眠気はどうするか。国の答えは「安全な場所に止めて休む」
2026年10月16日 公開 2026年10月19日 更新

目次
運転中に眠くなったら、どうすればよいか。警察庁が公表している「交通の方法に関する教則」の答えは短く、眠気を感じたら、速やかに休むです。ここでは教則と法律の原文、厚生労働省と国土交通省の資料から、眠気について国が書いていることを整理します。体の状態について判断するのは医師で、この記事は資料に書かれた範囲だけを扱います。
教則の答えは「止めて、休む」
「交通の方法に関する教則」は、国家公安委員会の告示です。運転する前の心得を書いた章で、眠気についてこう書いています。
長時間にわたつて運転するときは、2時間に1回は休息をとりましよう。また、眠気を感じたら、速やかに休息をとつて眠気を覚ましてから運転しましよう。
— 警察庁「交通の方法に関する教則」第4章第1節2「運転計画を立てること」(2026年10月確認)
夜間の運転を扱った章には、眠くなる場面が具体的に書かれています。
幹線道路などで長時間単調な運転を続けると眠くなります。眠気を防ぐために窓を開けて新鮮な空気を入れ、少しでも眠くなつたら、安全な場所に車を止めて、休息をとるようにしましよう。
— 同 第6章第3節1(5)(2026年10月確認)
窓を開けるのは「眠気を防ぐため」で、眠くなってからの対処は安全な場所に車を止めて休息をとることです。同じ教則は歩行者向けの節でも、夜は「運転者も疲れてきて、注意力や視力が低下したり、居眠り運転などの危険な運転が多くなつたり」すると注意しています。
「2時間に1回」という休憩の頻度と、職業ドライバーに課された「4時間で30分」の基準は、運転は何時間で休憩すべきかの記事で扱いました。この記事では、眠気そのものに絞ります。
法律は「正常な運転ができないおそれ」での運転を禁じている
道路交通法には、疲れた状態での運転を禁じる条文があります。
何人も、前条第一項に規定する場合のほか、過労、病気、薬物の影響その他の理由により、正常な運転ができないおそれがある状態で車両等を運転してはならない。
— e-Gov法令検索「道路交通法」第六十六条(過労運転等の禁止)(2026年10月確認)
「前条」は酒気帯び運転の禁止です。この条文に違反した場合の罰則は、第百十七条の二の二が「三年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金」と定めています(同条第一項第七号)。
眠気を感じたこと自体を罰する条文ではありません。禁じられているのは、過労などで正常な運転ができないおそれがある状態で運転することです。教則も同じ節で「過労のときは、運転してはいけません」と書いています。
カフェインは、慢性的に頼ると効きが落ちる
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」は、睡眠と嗜好品の章でカフェインをこう扱っています。
眠気覚ましにカフェインを摂取している人も少なからずいると思いますが、慢性的な摂取では効果が減弱し依存も生じます。
— 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」睡眠と嗜好品について(2026年10月確認・引用に当たり文献番号を省略)
同じ箇所の見出しは「1日のカフェインの摂取量合計は400mgを超えないようにしましょう」です。ガイドは続けて、日中の眠気は慢性的な睡眠不足や睡眠障害が原因の場合もあるとし、睡眠時間や生活習慣を見直しても改善しなければ医師に相談するよう書いています。
眠気の根本にあるのは睡眠です。ガイドは成人の推奨事項の最初に、「適正な睡眠時間には個人差があるが、6時間以上を目安として必要な睡眠時間を確保する」を挙げています。そして睡眠の役割のひとつとして、こう書いています。
良い睡眠は、労働災害や自動車事故など眠気や疲労が原因の事故や怪我のリスク低減にも役立ちます。
— 同 1.はじめに(2026年10月確認・引用に当たり文献番号を省略)
睡眠不足の運転は、職業ドライバーでは乗務させない理由になった
睡眠不足と事故の関係を、国は職業ドライバーの規則で先に扱っています。内閣府の交通安全白書によると、国土交通省は2018年(平成30年)、バス・タクシー・トラックの事業者が乗務員を乗務させてはならない事由として「睡眠不足」を追加しました。乗務前の点呼で確認する事項にも「睡眠不足により安全な運転をすることができないおそれの有無」が加わっています。
白書は、国土交通省が事業者向けの指導監督マニュアルに追記した内容として、次の文を載せています。
睡眠不足による運転は飲酒運転と同等の危険性があるとも言われています。また「睡眠時間が6時間未満の者では7時間の者と比べて居眠り運転の頻度が高い」,「交通事故を起こした運転者で,夜間睡眠時間が6時間未満の場合に追突事故や自損事故の頻度が高い」といった研究結果も示されています。
— 内閣府「令和元年交通安全白書」トピックス「自動車運送事業者に係る交通事故防止対策」(2026年10月確認)
これは事業者が運転者を指導するための文書で、自家用車の運転者に課された義務ではありません。ただ、眠気の原因として国が睡眠不足をどう見ているかは、この文から読み取れます。
眠気が続くなら、睡眠の病気のこともある
眠気の原因になる病気について、国土交通省は運送事業者向けに睡眠時無呼吸症候群(SAS)のマニュアルを出しています。簡易版の定義はこうです。
SASとは睡眠中に舌が喉の奥に沈下することにより気道が塞がれ、睡眠中に頻繁に呼吸が止まったり、止まりかけたりする状態(睡眠呼吸障害)のために質のよい睡眠が取れず、日中の強い眠気や疲労等の自覚症状をともなう病気のことです。
— 国土交通省「自動車運送事業者における睡眠時無呼吸症候群(SAS)対策マニュアル【簡易版】」(2026年10月確認)
同じマニュアルは、事故のリスクについて「SASでない人に比べて、SAS患者の交通事故のリスクは約2.4倍といわれています」と書いています。代表的な症状として挙げられているのは次の5つです。
- 大きないびきをかく
- 睡眠中に呼吸が苦しそう、息が止まっていると指摘される
- 息が苦しくて目が覚める
- 朝起きた時に頭痛・頭重感がある
- 昼間に強い眠気を感じる
厚生労働省の睡眠ガイドも、睡眠障害の章で「眠気には慣れがあるため、眠気を自覚しづらい場合もあります」とし、睡眠時間が十分でも日中の眠気が続いて生活に支障がある場合は医師に相談するよう書いています。
止まる場所としての道の駅
教則が書く「安全な場所」の候補として、一般道沿いには全国1,234か所の道の駅があります。国土交通省の登録要件で、休憩機能として「利用者が無料で24時間利用できる十分な容量を持った駐車場」と「清潔なトイレ」が求められているので、深夜でも早朝でも停められます(登録要件の記事、一般道で24時間使えるトイレの記事)。
車内で眠ってよいかについては、国土交通省の「道の相談室」が答えています。
「道の駅」は、ドライバーなど皆さんが交通事故防止のため24時間利用できる休憩施設であるので、運転の途中で疲労回復のために車内で仮眠をとるなどしていただくことはかまいません。
— 国土交通省 道路局「道の相談室:休憩施設「道の駅」」(2026年10月確認)
同じ回答は、駐車場など公共空間での宿泊利用は基本的に控えるよう求めています。眠気を取るために停まる範囲と、泊まることの線引きは無料で停められて仮眠できる場所の記事にまとめました。厚生労働省の改善基準告示のQ&Aも、職業ドライバーの連続運転の例外規定にある「サービスエリア、パーキングエリア等」に道の駅が含まれるとしています(運転は何時間で休憩すべきかの記事)。
走る道の先にどの道の駅があるかは、都道府県ごとの一覧から探せます。
この記事は、警察庁が公開している「交通の方法に関する教則」、e-Gov法令検索の「道路交通法」、厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」、内閣府の「令和元年交通安全白書」、国土交通省の「自動車運送事業者における睡眠時無呼吸症候群(SAS)対策マニュアル【簡易版】」と、国土交通省道路局の「道の相談室」「道の駅案内 概要」(いずれも2026年10月確認)をもとに構成しています。引用部分は各文書からの引用で、出典表示のうえ利用しています。この記事は医学的な助言ではありません。眠気や睡眠について気になることがある方は、医師にご相談ください。
よくある質問
- 運転中に眠くなったらどうする?
- 安全な場所に車を止めて休みます。警察庁の「交通の方法に関する教則」は、眠気を感じたら速やかに休息をとり、眠気を覚ましてから運転するよう書いています。
- 窓を開ければ眠気は取れる?
- 教則では、窓を開けるのは「眠気を防ぐため」です。眠くなってからの対処は、安全な場所に車を止めて休息をとることです。
- 眠気覚ましにカフェインは効く?
- 慢性的に頼ると効きが落ちます。厚生労働省の睡眠ガイドは、慢性的な摂取では効果が減弱し依存も生じるとしていて、1日のカフェインの摂取量の合計は400mgを超えないように、としています。
- 眠いまま運転すると違反になる?
- 眠気を感じたこと自体を罰する条文はありません。道路交通法第六十六条が禁じているのは、過労などで正常な運転ができないおそれがある状態で運転することで、違反した場合の罰則は「三年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金」です。
- 道の駅で仮眠してもいい?
- かまいません。国土交通省の「道の相談室」は、運転の途中で疲労回復のために車内で仮眠をとることはかまわないと答えています。ただし、駐車場など公共空間での宿泊利用は基本的に控えるよう求めています(無料で停められて仮眠できる場所の記事)。
関連する記事
出典
- 警察庁「交通の方法に関する教則」(昭和53年国家公安委員会告示第3号)(確認 2026-10)
- e-Gov法令検索「道路交通法」(昭和35年法律第105号)(確認 2026-10)
- 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」(令和6年2月)(確認 2026-10)
- 内閣府「令和元年交通安全白書」トピックス「自動車運送事業者に係る交通事故防止対策」(確認 2026-10)
- 国土交通省「自動車運送事業者における睡眠時無呼吸症候群(SAS)対策マニュアル【簡易版】」(令和7年7月作成)(確認 2026-10)
- 国土交通省 道路局「道の相談室:休憩施設『道の駅』」(確認 2026-10)
- 国土交通省 道路局「道の駅案内 概要」(確認 2026-10)



